増刊号特集 1.博士論文を書くということ─あのときの問いといまの問い
研究のフィロソフィを固めた博士論文
仲上 豪二朗
1
1東京大学大学院医学系研究科
pp.324-329
発行日 2014年7月15日
Published Date 2014/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100926
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なぜ博士課程に進もうと考えたのか
私は2004年に神戸大学医学部保健学科看護学専攻を卒業した後,臨床を経ずに東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻修士課程へと進学した。博士課程修了後はそのまま同じ教室の助教に採用された。修士課程から一貫して褥瘡の予測,予防,病態アセスメント,治療に関する研究に,基礎研究から機器の開発研究や臨床応用までを網羅した看護理工学の観点から取り組んでいる。2013年度に1年間カリフォルニア大学ロサンゼルス校に客員研究員として滞在し,工学的な測定機器を用いて褥瘡の早期発見に関する臨床研究を行なった。現在は帰国し,講師として教育,研究,臨床活動を行なっている。
臨床を経ずに大学院に進学することはかなり多くの人にわりと強く反対されたが,一部の後押ししてくださる先生方のご意見を都合よく選択して,大学院へ進学した。したがって,本誌の読者のほとんどの方とはこの時点で経歴が異なるので,やや特殊ケースとしてみられがちではある。しかし,看護学が極めて多様となり,また,自然科学としての学問の側面の重要性がますます高まる現代においては,私のような研究歴がある人間の博士論文の紹介やその後の展開を知ることは,わずかばかりにも看護学の発展に寄与するだろうという編集部の期待があったものと理解し,それを裏切らないように,筆を執りたい。
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