シンポジウム 変性腰部脊柱管狭窄症の手術的治療と長期成績
緒言
小野村 敏信
1
1大阪医科大学整形外科
pp.678
発行日 1994年6月25日
Published Date 1994/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408901384
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最近の30年間に脊椎外科の領域における大きな出来事をいくつか挙げるとすれば,腰部脊柱管狭窄症という疾患概念が導入されたことをその一つとすることに異論はないであろう.いくらかの混乱はあったものの,この考え方は整形外科学の中に定着し,この病名が日常診療の中で広く用いられ,保存的あるいは手術的な種々の治療が行われることとなった.
本症に対する治療は,脊柱管の狭窄をきたす原因や患者背景によってそれぞれ異なるべきことは当然であろう.本症の中でも頻度の高い脊柱の変性による狭窄については,加齢に伴う椎骨の変形による神経圧迫という病態を前提とすると観血的治療の選ばれる可能性が大きく,またそれによって優れた治療成績が得られている.しかし一方では対象となるのが主として高齢者であり,症状には消長があることなどを考えると,これは加齢という生体の自然のプロセスに沿う変化であり,観血治療とくに侵襲の大きな手術が躊躇されることも当然である.
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