血管柄付腓骨移植術による上肢再建

Reconstruction of the Bone Defect in the Upper Extremity with Vascularized Fibula Grafts

　抄録：1976年10月以降，当科および関連病院で行った血管柄付腓骨移植術86例中，上肢の再建に用いた10例の術後成績を検討し，その適応と問題点について考察を加えた．内訳は男性5例女性5例で，手術時年齢は3～67歳，平均32.3歳，対象疾患は外傷性骨欠損・偽関節4例，骨巨細胞腫3例，先天性偽関節症2例，先天性内反手1例であった．移植部位は上腕骨1例，橈骨7例，尺骨2例であり，橈骨遠位端骨巨細胞腫の2例と先天性内反手の1例には手関節を再建するために，血管柄付腓骨頭移植を施行した．経過観察期間は9カ月～13年1カ月，平均6年であった．全例に骨癒合が得られ，追加骨移植を要したものはなかった．本法の手術適応は，外傷性骨欠損や難治性偽関節，腫瘍切除後の再建，先天性偽関節症であり，いずれも満足すべき結果を得た．