Japanese
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特集 不安定腰椎(第18回日本脊椎外科研究会より)
論文
腰椎変性辷り症の自然経過―辷りの発生と進行の機序を中心として
Natural History of Degenerative Spondylolisthesis: Pathogenesis and Increase of Slipping
松永 俊二
1
,
酒匂 崇
1
,
森園 良幸
1
,
武富 栄二
1
,
増田 明敏
1
,
山口 正男
1
,
徐 郁峰
1
Shunji Matsunaga
1
1鹿児島大学医学部整形外科学教室
1Department of Orthopaedic Surgery, Faculty of Medicine, Kagoshima University
キーワード:
変性辷り症
,
degenerative spondylolisthesis
,
病態
,
pathogenesis
,
全身性関節弛緩
,
general joint laxity
,
再安定化
,
restabilization
Keyword:
変性辷り症
,
degenerative spondylolisthesis
,
病態
,
pathogenesis
,
全身性関節弛緩
,
general joint laxity
,
再安定化
,
restabilization
pp.425-432
発行日 1990年4月25日
Published Date 1990/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408900082
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抄録:腰椎変性辷り症の自然経過を知ることを目的として5年以上直接観察ができた40症例について,主として辷りの発生機序と辷りの進行の有無について臨床的およびX線学的に検討した.辷りの進行は12例(3o%)に認められ,辷り進行関連因子として辷り進行患者の75%が重労働に従事しており,辷り腰椎部への力学的負荷の関与が示唆された.X線学的には椎間腔狭小や椎体の骨棘形成,軟骨下硬化像,靱帯骨化などの認められた症例では辷りは進行しておらず,脊椎におけるrestabilizationの機序が示唆された.また,辷りの発生因子として本症ではgeneral joint laxityの認められるものが多く,このような全身的因子も本症の発生の一因ではないかと考えられた.臨床症状と辷りの程度および進行の有無とは相関がみられず,生体のrestabilizationの機序を含めた本症の自然経過をよく考慮したうえで本症の治療方針を決定すべきであると考える.
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