増大号特集 絶対! 整形外科外傷学
column
外傷学に関する研修会参加の勧め
帖佐 悦男
1
Etsuo CHOSA
1
1宮崎大学医学部整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Faculty of Medicine, University of Miyazaki
pp.616
発行日 2024年5月25日
Published Date 2024/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408202988
- 有料閲覧
- 文献概要
最近では,外傷学を学ぶセミナーとして,日本骨折治療学会をはじめ多くの研修会が開催され,若手医師にとり大変有意義です.私が医師になった当時,地方の一般病院に勤務すると地域の人々が受診できる病院も限られていました.その多くの外傷の患者さんの治療に遭遇し,午前は外来,午後は毎日手術という生活を余儀なくされ,数少ない先輩からの指導や「骨折の治療」テキストに頼っていました.その当時は大腿骨近位部骨折の骨接合術にはscrew,enderネイル,CHS(compression hip screw)やDHS(dynamic hip screw)を,長管骨骨幹部骨折にはKüntscherネイルやプレート(dynamic compression plate:DCP)を用い,プレート固定の場合は骨膜を剥離し,ジグソーパズルを合わせるように解剖学的整復(レントゲン美人)を主眼に置いて治療を行っていました.
私にとり外傷学の転機になったのは,スイスに留学し,骨盤骨折を中心とした多くの外傷症例を経験できたことや,ダボスでのAO(Arbeitsgemeinschaft für Osteosynthesefragen)コースに参加する機会を得たことでした.AOのベーシックコースでは,骨折や骨折手術に関する基本的な知識やAO骨折理論に基づいたスクリューやプレートなどの使用方法を学び,アドバンスドコースでは,骨折治療における応用的な概念・手技などを学び,治療の選択肢を広げることができるようになりました.当時はありませんでしたが,現在はスペシャルティコースやマスターコースなども整備されています.
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.