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あとがき
松本 守雄
pp.1044
発行日 2022年8月25日
Published Date 2022/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408202427
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本稿執筆中の現在は梅雨の半ばで蒸し暑い日々が続いている.新型コロナウイルス感染症がやや沈静化し,社会が正常化していくと思いきや,ロシアのウクライナ侵攻,世界的なインフレや食糧不足,物価高騰,電力供給不足など社会が安定化する兆しが見えない.筆者の病院では節電を目的として体調に問題がない教職員は下りにはすべて階段を使用するという活動を開始したが,エレベーターが当たり前となっている教職員にはなかなか浸透しない.電気や食料は黙っていても手に入るものだと思っていたが,もはやこれまでの常識が通用しない時代になりつつあるということを認識する必要があるのだと思う.
出だしから暗い話で恐縮であるが,このような閉塞感を打ち破るのは新しい考えや技術革新である.本号では「整形外科ロボット支援手術」と題して聖マリアンナ医科大学の赤澤 努先生に特集をご企画いただいた.昨今のコンピュータテクノロジーや機械工学の進歩で,四肢関節や脊椎疾患に対するさまざまな手術支援ロボットが開発され,本邦にも導入されてきている.手術支援ロボットにより人工関節設置やスクリュー挿入の精度を上げ,安全性と手術成績の向上が期待される一方で,高い導入コストや診療報酬での償還が不十分などの課題もある.本特集ではこのようなロボット支援手術の歴史,現状,手術手技の実際,課題などについて各領域におけるロボット支援手術のエキスパートの先生方にご執筆をいただいており,現状を理解するうえで網羅的で有用な内容になっている.
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