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はじめに
整形外科領域の骨・軟骨疾患の診断におけるイメージング技術の開発と応用の歴史は古い.1885年のヴェルヘルム・レントゲン博士によるレントゲン線(X線)の発見は,今日の骨・軟骨疾患の診断の基盤になっている.現在でも,骨・軟骨疾患においては,まず単純X線撮影による画像診断が選択される場合が多い.単純X線像は,骨折や骨粗鬆症などの骨疾患のみならず,変形性関節症などの軟骨疾患に対しても関節裂隙や骨棘などがその診断に役立っている1).
さらに,1930年代には断層撮影の原理が発明され,コンピューターの発展により1970年代にComputed Tomography(CT)が開発された.CTの情報量は飛躍的に増え,CTを用いた画像診断の対象は,骨・軟骨疾患のみならず疾患全般に広がった.さらに,CT,Magnetic Resonance Imaging(MRI)や超音波に加え,シンチグラフィー,Positron Emission Tomography(PET)やSingle Photon Emission CT(SPECT)など放射性同位元素を用いるイメージング法の開発も急速に進み,イメージング技術は医療現場における診断に欠かすことのできない技術となった.
これら,医療現場で活躍している画像診断機器を小型化して,マウスなど小動物を用いた医学研究への応用が進んでいる.特にマイクロCTは骨の微細構造を非破壊的に比較的簡便に観察できる方法として注目されている.一方で,骨・軟骨イメージングにおいて,微細構造のイメージングに加え,細胞やマトリクスの機能のイメージングを解析する機運が高まってきた.ただし,マイクロCTを含め,前述のCT,MRIやPETは時空間解像度が低いことに加え,機能イメージングに必要なプローブの開発が難しく,1細胞レベルでの細胞機能イメージングはいまだ困難である.そこで,高時空間分解能で分子・細胞の機能イメージングを可能する,生体蛍光イメージングの骨・軟骨イメージングへの応用が注目されている2-4).
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