Japanese
English
Lecture
骨感染症における抗菌薬の選択—骨芽細胞内移行性を中心に
Antibiotics Selection for Intraosteoblastic Staphylococcus aureus in Osteomyelitis
松下 和彦
1
,
松本 浩
2
,
鳥居 良昭
3
,
仁木 久照
3
Kazuhiko MATSUSHITA
1
,
Hiroshi MATSUMOTO
2
,
Yoshiaki TORII
3
,
Hisateru NIKI
3
1川崎市立多摩病院整形外科
2川崎市立多摩病院薬剤部
3聖マリアンナ医科大学整形外科学講座
1Department of Orthopaedic Surgery, Kawasaki Municipal Tama Hospital
2Department of Pharmaceutical Service Kawasaki Municipal Tama Hospital
3Department of Orthopaedic Surgery, St. Marianna University School of Medicine
キーワード:
骨髄炎
,
osteomyelitis
,
抗菌薬
,
antibiotics
,
骨芽細胞内黄色ブドウ球菌
,
intraosteoblastic Staphylococcus aureus
Keyword:
骨髄炎
,
osteomyelitis
,
抗菌薬
,
antibiotics
,
骨芽細胞内黄色ブドウ球菌
,
intraosteoblastic Staphylococcus aureus
pp.327-332
発行日 2018年4月25日
Published Date 2018/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201062
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黄色ブドウ球菌は骨芽細胞内に侵入できる!
これまで,黄色ブドウ球菌は骨基質やインプラントの表面に定着してバイオフィルムを形成するなど,宿主(ヒト)の細胞外のみで増殖できる細胞外寄生菌とされてきた1).しかし,黄色ブドウ球菌はヒトの細胞内でも増殖できる細胞内寄生菌でもあるとのin vitroの報告が散見され,骨芽細胞内にも侵入し増殖することが確認されている1-4).一方,セファゾリン(CEZ)などのβ-ラクタム系薬は,細菌の細胞壁の合成を阻害することで抗菌作用を発揮する.したがって,ヒトの細胞は細胞壁がないため,β-ラクタム系薬はヒトの細胞には作用せず安全性が高いとされてきた.その反面,β-ラクタム系薬は細胞壁のないヒト細胞内への移行が不良で,細胞内寄生菌に対する抗菌活性は劣るとされている5).黄色ブドウ球菌が骨芽細胞内に寄生できるとすると,黄色ブドウ球菌による骨感染症では骨芽細胞内移行性がよい抗菌薬を選択する必要がある.骨芽細胞内への移行性を考慮した抗菌薬の選択について解説する.
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