整形外科/知ってるつもり
運動器疾患に伴う痛みに対する客観的診断と治療—最近の薬物治療を含めて
海渡 貴司
1
Takashi KAITO
1
1大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学(整形外科)
pp.860-862
発行日 2016年9月25日
Published Date 2016/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200631
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はじめに
運動器では,静的な状態にある組織における細胞老化に加えて,機械的刺激やそれに伴う組織変性(劣化)・力学的負荷の持続により関節構造の変化や関節支持組織に変性が生じる.腰痛症を例にとれば,X線での腰椎椎間板高の減少や骨棘形成が生じ,腰椎の変性を画像に客観的に診断することができる.外来診療において,腰痛がある患者にX線を示し,「椎骨のクッションが完全になくなっていることが痛みの原因です」と説明することはよく行われるが,これは運動器疾患に伴う痛みの客観的診断として必要十分なものではない.本稿では,運動器疼痛の客観的診断および,最近の薬物治療についても紹介したい.
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