連載 整形外科の歴史
関節形成術を中心とした股関節手術の歴史⑧(最終回)
小野 啓郎
1
1大阪大学
pp.787-793
発行日 2015年8月25日
Published Date 2015/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200302
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流体潤滑説再訪
「ヒトの股関節が境界潤滑だけではない,関節液による流体潤滑も関わっているとすればどうなるか?」
20世紀初頭の科学界ではReynolds(図50)の説−hydrodynamic lubrication(流体潤滑)(図51,52)が有力であった.当時の英国鉱工業ならびに陸運・海運の繁栄の中で原動機(エンジン・ピストン)−車軸−軸受けの“低摩擦理論”が飛躍する機運にあったことを物語る.蒸気機関・発電機・内燃機関の動力を大規模工場生産や船の推進力に利用するためには各種のすべり軸受け,ピストンリングにおける摩擦の問題が重大なテーマであった.
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