連載 整形外科の歴史
関節形成術を中心とした股関節手術の歴史⑤
小野 啓郎
1
1大阪大学
pp.451-456
発行日 2015年5月25日
Published Date 2015/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200214
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骨セメント使用
Acrylic cements, polymethyl-methacrylate(PMMA)(アクリル骨セメントと呼ばれた)は,20世紀初頭に登場したもので,新規の合成化学製剤ではない.1930年頃から歯科で広く用いられていた.Methyl methacrylate monomerと交ぜると常温で即時重合する性質が重宝されたわけである.1950年代にはニューヨークのHospital for Joint DiseaseのEJ Haboushによって整形外科領域にも使われたという.しかし大腿骨の骨髄腔にステムを,あるいは骨盤側にソケットを固定する目的に使用したのはCharnleyであった(図27).その後はthe Dental Manufacturing Company in Blackpool(後にCMW)と提携して,彼の人工関節の固着には必需品となっていった.インプラントの進化とともにその功罪が論じられた20世紀末には,セメント不用のインプラントも登場しだした.
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