連載 整形外科の歴史
関節形成術を中心とした股関節手術の歴史⑦
小野 啓郎
1
1大阪大学
pp.663-667
発行日 2015年7月25日
Published Date 2015/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200269
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Metal-on-metal (MOM) surface replacement arthroplasty
MOM(金属対金属)人工関節の優れた点が評価される時代がやってきた.しかし,これが,また新たな問題を惹き起こしている.MOM人工関節における摩耗粉と,これに由来する生体内金属イオンへの懸念である.人工関節の登録制度のある国—英語圏でMOM人工関節のリコール問題が起きた.2009年末にThe Australian Orthopaedic Association National Joint Replacement Registry(AOANJRR)が早期再手術例の頻度が高いことで警告を発し,DePuy ASRなどにMOM implants使用停止を勧告した.米国や英国がこれに続いた.
元来,ポリエチレンの摩耗粉による人工関節周囲の異物反応と骨吸収,その結果としてのimplantの緩みを回避すべくMOM人工関節に切り替えたのであるが,金属粉にも炎症と痛みを伴う例が少なくないことがわかった.
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