シリーズ DPCに対応したクリニカルパスの実際
⑧鼓膜形成術
山本 裕
1
,
髙橋 姿
1
1新潟大学医学部耳鼻咽喉科学講座
pp.875-879
発行日 2006年10月20日
Published Date 2006/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100866
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Ⅰ はじめに
近年,慢性中耳炎をはじめとする鼓膜穿孔症に対して,接着法による鼓膜形成術が盛んに行われている。本手術はきわめて低侵襲でかつ安定した成績が得られるため,耳鼻咽喉科領域で行われている小手術のなかで最もポピュラーなものの1つとなっている。
本手術は入院加療を要さない外来手術として行われる場合も多い。しかし,手術中の疼痛が局所麻酔で制御できない可能性がある場合,幼・小児例などで体動が予想される場合,大きな穿孔症例や外耳道の視野が得られにくい場合などでは,入院のうえ全身麻酔下で施行されることも多い。
鼓膜形成術をはじめとする中耳手術は術後合併症が比較的少なくバリアンスが生じにくいため,一連の入院医療行為を標準化しやすく,クリニカルパス(以下,パス)の良い適応となる。われわれも2001年以来,入院下で行う中耳手術に対して3種類のパスの活用を開始している1)。その後,2002年から当院ではDPCが導入されたが,医療の標準化,在院日数短縮を目標とするDPCに,このパスは大きく寄与しているものと考えている。
本稿ではDPC施行下で行われる鼓膜形成術にわれわれが活用しているパスを紹介し,その意義や問題点を考察する。
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