連載 運動器のサイエンス・17
慢性疼痛増加の機序を探る
半場 道子
1
1福島県立医科大学医学部整形外科学講座
pp.782-785
発行日 2015年8月25日
Published Date 2015/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200300
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痛みの制御,運動制御に関わるdopamine
最近の神経科学から慢性疼痛の謎を追う本欄,第17回はParkinson's disease(PD)の痛みを取り上げる.PD患者には共通して,苛酷な痛みの問題が浮上しているからである.PDでは,運動症状の軽減に治療の主力が注がれているが,患者は耐えがたい痛みと気分障害などをかなりの高率で抱えており1,3,4,10,12,13),痛みが運動症状に先行して現れた例も多い12).患者数が増加し続ける超高齢社会にあって,「どれだけ訴えても,痛いはずはないと取り合ってもらえない」という,臨床側の無理解を嘆く声も届いている.
脳内dopamineは,学習や行動などさまざまな作用をしているが,中脳から発するdopamine作動性伝達は,痛みの受容と制御2,8),運動制御に大きな役割を有している.
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