境界領域/知っておきたい
指間形成術後の瘢痕拘縮—構造解析から考える対策
宮本 純平
1
1広島大学病院形成外科
pp.650-653
発行日 2015年7月25日
Published Date 2015/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200266
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指間形成術の歴史
合指症分離手術時などに行う指間形成術では,機能的改善と形態的改善が求められる15).皮弁の挿入位置や大きさが不適切であったり,移植皮膚の生着が不良であったり,不適切な術後ドレッシングなどは,容易に瘢痕拘縮につながる.同部の瘢痕拘縮で最も問題になるのは,術後に指間底部の水かき(web)部分が浅くなることで,web creepと呼ばれる.術後早期に問題がなくても,成長とともに明らかになる場合もある.現在,合指症では,骨の変形予防や指機能の早期獲得のため,1歳前後で分離手術を行うことが多いが,いまだ再手術が必要になる症例もあり,成長を考慮した長期的な拘縮予防が重要になる.
正常な指間は,上方からみるとU字型のwebを形成しており,開大時にわずかに浮き上がる.側方からみると,掌側底部に向かって40〜45°のスロープ状になっており,正面からみると砂時計型になっている.これらの形態を考慮しながら,①指を抵抗なく開くことができる,②開いた時に過度にwebが浮いてこない,③目立たないところに瘢痕ができるようにする,のが理想と考えられる.
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