今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション
ここが聞きたい105例の対処と処方
VI そのほか
【術後の肥厚性瘢痕】102.肥厚性瘢痕ができやすい体質の患者です.術後,瘢痕ができないように予防してほしいといいます.
平川 俊夫
1
,
和氣 徳夫
2
1真田産婦人科麻酔科クリニック
2九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学
pp.645-647
発行日 2007年4月10日
Published Date 2007/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101535
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1 診療の概説
肥厚性瘢痕とケロイドは,ともに創傷治癒過程の異常によって膠原線維の過剰増殖が生じる疾患である.前者は受傷範囲を越えて拡がることはなく一定期間の増殖の後に自然退縮して萎縮性瘢痕になるのに対して,後者は受傷範囲を越えて周囲組織に拡がり長期にわたって持続性に増大する.しかし,実際には両者の区別はしばしば困難であり,予防・治療の面では同様に扱われている.いずれも外見が醜状であることに加え,時に拘縮により運動機能に制限をきたし,また疼痛や掻痒感が強いために,治療の対象となる.
肥厚性瘢痕の発生には体質は関与しないと一般に考えられているが,ケロイドの発生には人種差があり(頻度は黒人>黄色人>白人),家族内発生の存在,またアレルギー素因者に多発することから,遺伝的背景の存在が考えられている 1).
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