増刊号 それぞれの創傷治癒
3.瘢痕拘縮における創傷治癒
林 利彦
1
1旭川医科大学形成・再建外科学講座
pp.S12-S14
発行日 2024年6月30日
Published Date 2024/6/30
DOI https://doi.org/10.18916/keisei.2024130006
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はじめに
創傷治癒過程には作用する2つの重要な因子がある。1つは上皮化であり,もう1つは創収縮である 1)。しかし,臨床の場では収縮と拘縮という用語が混同されて使用されることがある。その違いは,収縮は創すなわち組織欠損部を修復する過程を意味しており,拘縮とは修復の結果によって生じた症状を意味する。すなわち創収縮は,創傷治癒にとって重要な因子であるが,瘢痕拘縮は治癒過程で生じた皮膚や皮下組織の線維化によって関節などに何らかの運動制限を来たした臨床症状を意味し,好ましい状態ではない 2)。
本稿では以上の内容を踏まえて,創傷治癒とそれに伴って生じる瘢痕拘縮の基本について解説する。
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