視座
臨床研究ノススメ―日常診療における日々の疑問と発見を大切に
酒井 昭典
1
1産業医科大学整形外科
pp.581
発行日 2014年7月25日
Published Date 2014/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408103089
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われわれ臨床医は,日常診療において患者さんの話に傾聴し,よく診てよく触れることが何より大切です.注意深い観察は新たな疑問や発見へと繋がることがあります.知的好奇心をもって,日常診療で得られた日々の小さな疑問や発見を基に,その真偽を明らかにすべく仮説を立てて臨床研究を行うことがとても有意義なことだと私は思っています.仮説の真偽が検証されれば,それはサイエンスとなり,得られた結果は,患者さんへのフィードバック,さらには医学の発展に貢献することに繋がります.医学界における新たなエビデンスとなります.医師として科学者として達成感と充実感があります.私は,医師として最初の10年間は先輩医師の教えを素直に聞き,すべてを受け入れるように努めてきました.10年以降は,日々の小さな疑問や発見を基に臨床研究を行い,真偽を検証してきました.
まず,クリニカルクエスチョンは荒唐無稽なものではダメで,解け得るものを設定しなければなりません.疑問をPICO(patient/intervention/comparison/outcome)形式に定式化します.どんな患者さんにどのような介入を行えば対照と比べてどれだけ結果が違うか,という構成です.次に,statistical power analysisにより仮説を検証するために必要なサンプルサイズ(症例数)を算出します.私は1群のサンプルサイズが30~50名,日々の症例数から概算して1年前後で答えが出る臨床研究を主に行ってきました.次第に,仮説の立て方と統計手法に慣れ,サイエンスレベルも高くなり,論文の投稿雑誌のクオリティも高くなってきました.
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