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日々の診療で,患肢機能の温存や回復を目指している整形外科医にとって,患肢切断術はいわば「敗北の手術」である.しかし整形外科を標榜していれば,外傷,腫瘍,壊疽などその原因は多岐にわたるが,患肢切断術を避けて通ることはできない.最近はナビゲーションサージャリーや再生医療などがもてはやされて,多くの特集が企画されているが,一方で多くの整形外科医が避けて通ることのできない,切断術を含めた下肢壊疽の治療に対して目を向けた特集は少ない.そこで今回は,近年増加している高齢者の末梢循環障害や糖尿病などによる下肢壊疽に焦点を絞り,下肢壊疽の最新治療をテーマに誌上シンポジウムを企画した.
今回の特集では,内科,外科,理学療法を含め,各項目をその分野の一流の先生方に執筆を依頼した.兵庫県立リハビリテーション中央病院の陳隆明先生には,下肢壊疽の総論・疫学をお願いし,わが国における下肢壊疽の実態についてご解説いただいた.また末梢循環障害による壊疽については,血管外科医の立場から,閉塞性動脈硬化症の治療の考え方を山王メディカルセンター・血管病センターの重松宏先生に,閉塞性動脈硬化症による重症虚血肢の救肢法について,江戸川病院の笹嶋唯博先生にご解説いただいた.一方,糖尿病足壊疽について内科医の立場から,そのfoot care法も含め京都医療センター河野茂夫先生にご解説いただいた.これらの解説を通じ,患肢救済のための最新の治療法につき知識を深めていただけると思う.また,救肢できなかった際の切断術については,もともと貧血を有することの多い高齢者の切断端からの出血や断端浮腫を防ぐ新しい下肢切断法について,金沢大学附属病院の山本憲男先生にご紹介いただいた.切断術後のリハビリテーションについては,兵庫県立リハビリテーション中央病院の幸野秀志先生にその適応とゴールなどについて,下肢切断後の装具については,鉄道弘済会義肢装具サポートセンター理学療法士の梅澤慎吾先生に幅広くご解説をいただいた.これらの解説を通じ,患肢切断から実際の社会復帰までの実際をご理解いただけると思う.
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