誌上シンポジウム 原発巣別転移性骨腫瘍の治療戦略
緒言
土屋 弘行
1
Hiroyuki TSUCHIYA
1
1金沢大学大学院整形外科学講座
pp.852
発行日 2018年10月25日
Published Date 2018/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201185
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年間出生件数が100万人を下回るわが国において,新たにがんと診断される患者は年間100万人を超えている,今や日本人の2人に1人ががんとなり,3人に1人ががんで死亡している現状を考えれば,言い古された言葉ではあるが,やはりがんは国民病の最たるものであるといっても過言ではないだろう.そのような現状の中で,抗体薬を代表とする多くの新規治療が導入され,がんの治療も大きく進歩を続けている.以前は長期予後が見込めなかったような症例でも,骨転移と共存しながら日常生活を送れるケースが増えている.
「転移性骨腫瘍(がんの骨への転移)」といってもその実態は様々であり,一括りにしてしまうことは甚だナンセンスである.これは骨が折れたことを「骨折」と一言で片付けてしまうのと同様なことでもある.骨を専門としている整形外科医であれば,いかに腫瘍を専門とはしていなくとも,基本的な知識を有していることは非常に重要と考える.
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