誌上シンポジウム 整形外科領域における蛍光イメージング
緒言
土屋 弘行
1
1金沢大学大学院機能再建学(整形外科学)
pp.6
発行日 2012年1月25日
Published Date 2012/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102213
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
2011年(平成23年)10月20~21日と,第26回日本整形外科学会基礎学術集会が高岸憲二会長主催のもと,群馬県前橋市で開催され,実に数多くの先駆的研究とその結果が報告された.その1つひとつの発表は重要で実に意義深いものであったが,自分の専門分野と異なってしまうと,目を惹かれる発表とそうではない発表とがあった,のもまた事実である.限られた時間内に,数多くの発表の中から自分の発表に関心を向けてもらうというのは,実は非常に大変なことである.残念ながら,どれほど苦労して得られた結果でも関心を持ってもらえなければ,ただ徒労でしかない.数多くのものから目を惹かせるためには,研究のテーマや内容はもちろんであるが,視覚的に理解しやすいことが大切であり,これはいわゆる白黒の電気泳動写真や数値のみの棒グラフだけの発表よりも,同一動物での経時的変化の実際の写真であったり,組織切片での蛍光多重染色のように色彩的に鮮やかで,美しいものであればなおさらである.
また同一動物で観察を行えば,犠牲にする実験動物を減らすことが可能で,個体差による実験誤差を減らすことも可能である.小動物で生体内イメージングを行うには,MRI,CT,各種アイソトープを用いた実験系などもあるが,大掛かりな実験装置の導入が必要であり.アイソトープを用いた実験では取り扱いに対する制限も厳しい.一方,ルシフェラーゼや蛍光蛋白質あるいは蛍光物質などを用いる実験系では,実験装置も小型で遺伝子導入細胞などを用いるときでも,P2レベルの実験室で観察を行うことができるため,比較的容易に実験を行うことが可能である.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.