視座
整形外科医としての勤務スタイル
岩崎 倫政
1
1北海道大学大学院医学研究科整形外科学分野
pp.647
発行日 2013年7月25日
Published Date 2013/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102752
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ご存知のように北海道は土地の広さに比較し医師数が少ないことから,札幌や旭川などの医育機関所在地以外では深刻な医師不足に悩まされている.もちろん,整形外科とて例外ではない.病院経営への貢献度が高い整形外科は,公的および民間病院の両者にとってぜひとも充実させたい診療科の一つである.したがって,教室にも道内の病院から数多くの新規医師派遣要請があるが,教室自体にすべての要請に応えられるマンパワーは不足しているため,丁重にお断りするしかないのが現状である.
一方,都市部の民間病院への中堅,若手医師の就職希望者は後を絶たない.勤務先が都市部に固定され,夜間救急などのdutyも少ない環境は彼らには魅力的に映るのであろう.これに加え,最近では週に2,3日都市部の病院で勤務し,残りは地方の整形外科医師不足に悩む病院(主として民間病院)で外来と手術を中心とした診療を行うという勤務スタイルを取り入れる病院(これが医師のリクルートにもつながっている)も出現している.このシステムにより,病院側はある程度医師の給与を抑制し(時間を与えることで他の病院から給与が得られるため両者にとって好都合である),医師は主として手術に多くの時間を割くことができ,周術期管理や当直などは免除される.すなわち,責任は軽減し,総収入は増加することになる.最近は,マスコミなどで“天才外科医”などと称され全国を飛び回る外科医の特集が組まれることなども,このような風潮に拍車をかけているようにも思われる.
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