連載 知ってますか?整形外科手術の変遷・9
踵骨骨折の手術
廣谷 速人
1
1島根医科大学
pp.1218-1222
発行日 2012年12月25日
Published Date 2012/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408102546
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踵骨骨折治療の歴史
変形した,おそらくは骨折したと思われる踵骨は新石器時代(8,000~7,000年前)のフランスや,中期サクソン期(600~900A.D.)のイギリスの遺跡で発見されている30)が,踵骨骨折の医学的記述はHippocrates(ca. 460B.C.)14)に始まり,高所からの落下の際に発生して壊死に陥りやすいことを中心とした記述を残している.しかし,骨折という認識は1720年3,6,8)以降になされたものの,医学的に確かめられたのは,1839年のNorrisの解剖報告からであるとされている6).その後,Malgaigne(1850)16)は関節内骨折の存在を明らかにした(図1).
1894年にX線が発見されてからは病態が明らかとなり,観血的に治療されるようになった3,6).Goff8)によれば1938年までに41の術式が発表されたという.なかでも,Leriche(1913)は観血的に整復してステープルとスクリューで内固定を行い3,6,23),Böhler(1929)2)はねじクランプ(Schraubenzwinge)(図2)と鋼線牽引によって整復している.ついでWesthues(1935)31)は骨釘による整復手技を発表したが(図3),この手技は今日なお広く利用されている.なおvon Stokum(1912)は距踵関節固定術を初めて報告した3).
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