書評
『X線像でみる 股関節手術症例アトラス[CD-ROM付]』―佛淵孝夫●著
内藤 正俊
1
1福岡大病院病院長
pp.1143
発行日 2010年12月25日
Published Date 2010/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101862
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このたび発行された『X線像でみる 股関節手術症例アトラス CD-ROM付』をパノラマ風に捲り終えると30年前に初めてグランドキャニオンを眼前にした時の感動が蘇りました.著者が執刀した膨大な症例の幅広さと奥行きの深さに圧倒され,機能が回復した偉観とも言うべき股関節の群れに“あっぱれ”と感嘆の声をあげました.
本書は約6000例の中から厳選された症例の両股関節正面像を用い,術前から術後までの長期経過が1頁で一目瞭然にわかる画期的な構成になっています.手術方法によりAからCまでの3部に分けられており,Aは各種股関節骨切り術,Bではさまざまな症例に対する初回セメントレス人工股関節置換術(THA),Cは主にセメントレスTHAによる再置換術です.各部をさらに術式ごとに細分類し,その代表症例ごとに手術適応,術前の準備,治療法選択の因子,手術のコツ,ピットフォール,後療法,合併症と対策などが箇条書きで簡潔に記載されています.各症例には細分類に応じたタイトル,性別,年齢,手術の難易度とともに手術方法の秘訣が“COMMENT”の数行に詰まっています.付録のCD-ROMには書籍に提示されていない症例を含め合計600例が収載されており,コード番号は本書の症例のタイトルと呼応するようになっています.細分類ごとの自動的なスライドショーのon,offや画像の拡大機能もあります.使い勝手がとても便利で,全体を眺めることや手術の細部のチェックが容易です.
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