Japanese
English
誌上シンポジウム 人工股関節術後の骨折の治療
特集にあたって
Preface
大橋 俊郎
1
Toshiro Ohashi
1
1山内ホスピタル
pp.638-639
発行日 2008年7月25日
Published Date 2008/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101315
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- Abstract 文献概要
1970年前後から日本でも人工股関節全置換術が開始された.それ以来インプラントに様々な改良が加えられ,素材もチタン合金やCo-Cr合金,セラミックスが使用されるようになり,また,摺動面に関してはより長期に耐磨耗性に優れたクロスリンクポリエチレンライナーの使用や,セラミック―セラミックやメタル―メタルの摺動面を使用することも可能となり,さらにインプラント固定法の改善改良により人工股関節はより長期の使用に耐えられるようになってきている.
これらの進歩によって,より若年者(特に関節リウマチ症例)にも手術が安全に行えるようになってきており,現在,日本全国で年間3万5000例以上の手術が行われている.一方,平均寿命は延長の傾向が続き,男性で79.0歳,女性で85.81歳である.そのような状況下で,人工股関節手術後に転倒したり,各種の事故に遭遇する機会も増加し,人工関節周辺骨折も増加しているものと考える.さらに高齢者の大腿骨近位部骨折も増加し,大腿骨頚部骨折に対しては人工骨頭置換術を実施されることが多く,年間4万8000余例が実施されている.そのステム周辺骨折の治療法は人工関節周辺骨折の場合と同じであるが,骨粗鬆症を合併している症例が多く治療にはより困難性が増加する.人工関節周辺骨折の頻度は1~4%といわれているが,多数例のまとまった報告はなく,報告される症例は一部と考えられる.
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