統計学/整形外科医が知っておきたい
9.メタ分析―臨床研究の統合
小柳 貴裕
1
Takahiro Koyanagi
1
1東京歯科大学市川総合病院整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Ichikawa General Hospital. Tokyo Dental College
pp.1295-1301
発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408100835
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
◆データの統合と意義と整形外科での現状
メタアナリシスは,同じテーマの独立した研究データを統計学的にまとめ,一定の見解を得ようとするものである.当初,心理学,教育学でのreviewの主観を排除する目的で唱えられたものだという2).臨床統計の巨人Petoがβblockerの心筋梗塞後の死亡リスク予防効果を統合してから急速に臨床医学でも普及しつつあり,いまやEBMの根幹をなすものといっても過言でない.Controversialな治療法の優劣を客観的に知りたいとき,あるいは最終的に同じ成績なら治癒までの期間や副作用はどうかといったことがその好対象となる.しかし整形外科領域ではいまだに市民権を得たとは言い難い.その論拠としてBhandariら1)は,整形外科領域ではいまだRCTが可能なテーマが限られるためかその数が少なく,またRCTのみならず,観察的研究が統合されていること,とくにfracture treatmentなどではthrombosisの診断や薬剤の効果に比べてrandomizationが困難なことにより,バイアスの回避が難しく,それぞれの研究の不偏性―quality scoreが内科領域の研究におけるそれより小さくなるためである,としている.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.