最新基礎科学/知っておきたい
VEGF(vascular endothelial growth factor)
榎本 宏之
1
1佐野厚生病院整形外科
pp.1304-1307
発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408100836
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VEGF(vascular endothelial growth factor)は血管内皮細胞へ比較的特異的に作用し,増殖促進作用と走化作用によって血管新生を促進する成長因子である.血管新生は胎児の器官発生や創傷治癒の過程に必須であるが,一方で関節リウマチ,糖尿病性網膜症や癌の転移においても血管新生が病態に関与する.これらの事実より生体の恒常性を維持するためには血管新生の適確な制御が重要であることは自明である.VEGFファミリーには他にアミノ酸配列に相同性があるPlGF,VEGF-B,VEGF-C,VEGF-D,VEGF-Eがあるが,発現組織や生物学的役割について不明な点が多い14).本稿ではVEGFおよびその受容体の構造と作用,関節内組織での発現,VEGFの作用を調整して血管新生を調節することで治療に結びつける臨床応用への可能性についても概説する.
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