焦点 看護学の基盤形成にいかすメタ統合―質的研究の蓄積と活用
[研究の実際]
メタ統合で明らかになった援助関係形成
正木 治恵
1
1千葉大学看護学部
キーワード:
メタ統合
,
質的研究
,
援助関係形成
,
実践知
Keyword:
メタ統合
,
質的研究
,
援助関係形成
,
実践知
pp.383-393
発行日 2008年8月15日
Published Date 2008/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100330
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はじめに
対人援助が基盤となる看護学は,個々人の生活や考え方の背景となる文化的文脈を重視する必要がある。我々が行なう看護実践には,日本人の文化的側面が影響していることが考えられるが,看護実践そのものから,そこに内包されている対人援助関係を抽出した研究はごくわずかみられるのみである(西村,2001)。それも看護ケアの現象にみられる相互作用を記述したもので,看護における援助関係形成の枠組みを提示するものではない。一方,日本における看護実践過程を克明に記録し,そこから看護実践知を抽出した論文は,看護学研究科における修士論文,博士論文に多くみられる。
千葉大学21世紀COEの研究プロジェクトでは,複数の質的研究論文を統合していくメタ統合の手法を用いて,対象者の特性に応じた関係の築き方や看護の関わり方を文化の観点を含めて分析し,看護実践モデルを創出することに取り組んだ。そこで本稿では,看護実践知を示した修士論文,博士論文のメタ統合により,対人援助関係を抽出・統合していくための理論的分析枠組みを導いた研究を紹介し,援助関係形成について述べる。
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