連載 整形外科と蘭學・11
加古良玄と整骨術
川嶌 眞人
1
Mahito Kawashima
1
1川嶌整形外科病院
pp.1546-1548
発行日 2004年12月1日
Published Date 2004/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408100597
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加古良玄は四国,阿波の人で,名は厳,字は将士,通称は良玄,号は藍洲という.父は整骨医で堂号を正骨堂という.その生没や履歴には不明の点が多く,本稿では蒲原宏氏の研究と調査によった.
文政2年(1819)には自ら行った刑屍解剖所見を基に「解体鍼要」一巻を京都の書店から出版しているくらいであるから,解剖に詳しい医師であった.その序文を書いた幕府医官の多紀元簡によると,人となりは豪放萊落で,意気軒昂,酒に強く,乱れないという人物であったようである.元簡は華岡青洲の乳癌手術と並び称して,良玄の整骨術を「天下六奇の一」として賛辞を贈った.江戸での評判がよかったためか文政3年(1820)の「今世医家人名録」には「本道・外科 下谷長者一丁目 加古良玄」と記されており,江戸に住み続けていたようである.
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