連載 整形外科と蘭學・9
各務木骨と整骨医
川嶌 眞人
1
Mahito Kawashima
1
1川嶌整形外科病院
pp.954-956
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408100497
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星野木骨の実証的な研究成果は,先に述べたように小石元俊など関西を代表する医師たちからも大いに賞賛され,蘭学を通じて自然科学的な視野が育まれつつあった大阪の医師たちに衝撃的な刺激を与えた.蒲原宏氏によればその中で星野良悦の実証的な整骨術研究の思想は大坂の整骨医である各務文献(かがみぶんけん)に継承されたという.
各務文献(1755-1819,図1,2)は,通称相二,字を子徴,号を帰一堂と称した.代々赤尾藩浅野藩の家臣であったが,主家の断絶後は大坂の横堀に住んだ.文献は宝暦5年(1755)大坂に生まれ,初め古医方を学び,産科,外科を修めた.産科においては八種の救産具を考案するなど,生来の凝り性と器用ぶりを発揮した.しかし文献は古医方にも産科にもの足らず,整骨術においても,今までもあまり研究されておらず,中国の空論を信じた人たちが経験だけに頼って施術している現状を考えた.この分野こそもっともやりがいのある分野と考え,骨関節機構の研究開発を行うことこそ自分の使命と考えた.
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