連載 医療の国際化 開発国からの情報発信
海外医療ボランティア活動記(7)―ルワンダ(その3)
藤塚 光慶
1
,
藤塚 万里子
2
Mitsuyoshi Fujitsuka
1
,
Mariko Fujitsuka
2
1松戸市立病院
2松戸市健康福祉本部
pp.950-952
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408100496
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(6号よりつづく)
ボランティアのフランス人が毒殺された
ある日のUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の催す会合で「NGOのボランティアが殺された.すべてのNGOはブカブから退去せよ」と言い渡された.「フランス人が毒殺されたらしい」との噂だった.私からみると,フランス人や元植民地宗主国の人たちは黒人を見下すようなところがある.私たちはホテルのレストランでザイール人のクリスパンと一緒に夕食をとることがあったが,彼らは決して黒人と食事をともにしない.医師が出す薬も錠剤だけで,子供にも飲みやすい水薬,シロップなどは「黒人にはそのようなものがあることは知らせない」というやり方だ.救援に来ていてもどうしても白人が黒人をつかっているという態度が出てしまう.だから,多分,個人的な恨みから殺されたのだろう.MSF(国境なき医師団)のフランスチームも若い人が大勢来ていたが,地元民は彼らのことを「ただ,ブーブーと町中を行ったり来たり車を走らせているだけだ」と言っていた.日本はアフリカでは歴史的,政治的に中立なので大丈夫と思っていたが,ヨーロッパ系の元宗主国の人々にとってはかなり危険な緊迫した状況であったらしい.
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