Japanese
English
特集 甲状腺外科—最新の臨床
バセドウ病眼症に対する甲状腺全摘について—58例の統計的観察と亜全摘との比較
Total thyroidectomy for patients with Graves'ophthalmopathy
栗原 英夫
1
,
谷村 清明
1
,
佐々木 純
1
,
高松 正之
2
Hideo KURIHARA
1
1栗原甲状腺クリニック
2高松病院
キーワード:
甲状腺全摘
,
バセドウ病眼症
Keyword:
甲状腺全摘
,
バセドウ病眼症
pp.1337-1343
発行日 2001年10月20日
Published Date 2001/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407905319
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
バセドウ病の症状は甲状腺機能亢進症状と眼症に大別できる.甲状腺機能亢進症に関しては若年者には手術,成人には放射性ヨード療法を行うことによりほぼ問題なく治療することが可能となったが,バセドウ病眼症に関しては決め手となる適切な治療がないのが現況である.
CatzおよびPerzikらは,バセドウ病眼症の原因はバセドウ病を発症させた甲状腺の中にあるという前提から,バセドウ病眼症の治療に甲状腺全摘を行い,素晴らしい成績を報告している.しかし,Wernerらの追試では甲状腺全摘はバセドウ病眼症に効果はなく,さらにWitteらのバセドウ病症例の全摘50例と亜全摘100例とのprospective randomized studyでも,甲状腺全摘と亜全摘との間にはバセドウ病眼症に及ぼす効果に統計学的に有意差はないとのことであった.
筆者らも58例のバセドウ病眼症に甲状腺全摘を行い,術後2年以上経過した50例について手術前後の突眼度の変化を調査したが,術後突眼度は平均で0.9mm改善したが,統計学的には有意の改善はなかった(P=0.08).しかし,前述の全摘50例と同性で年齢,手術時期のほぼ同じバセドウ病亜全摘50例とを対比させて比較検討したところ,甲状腺全摘のバセドウ病突眼症に対する効果は統計学的にみて有意に良好であった(P=0.002).
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.