外科研修医実践購座・25
乳癌に対する温存療法の実際
福内 敦
1
,
西 常博
1
1三井記念病院乳腺内分泌外科
pp.919-923
発行日 1995年7月20日
Published Date 1995/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407905276
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はじめに
筆者が1982年に三井記念病院で外科研修を始めた当時,乳癌に対する標準術式はHalsted法であり,縮小手術といえばPatey法やAuchincloss法のことを意味していた.さらに切除範囲の少ない温存手術などは,癌に対する治療とはおおよそ成りえず,「もってのほか!」との風潮であった.
こうしたなか当院では,1983年,イタリアのVeronesiらの方法に準じ,厳密な適応にもとづき温存療法quadrantectomyを慎重に開始した.現在,早期乳癌の対して温存療法が全国的に普及しつつあり,先駆的施設としては喜ばしいかぎりであるが,わずか10数年の間の急速な適応の拡大に,いささかの戸惑いを禁じえない.
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