臨床外科交見室
救急救命士に期待する
三田 三郎
1
1知多市民病院
pp.918
発行日 1995年7月20日
Published Date 1995/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407905275
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救急救命士(以下,救命士)法が制定され,救命士が世に誕生してから4年が経つ.制度が先行し内実が伴わない感は否めなかったが,年ごとに実質的にも少しずつ整備されつつあるようだ.救急医療のさらなる飛躍の一翼として期待される救命士だが,一般的にはもちろん,医師をはじめ医療従事者にもまだ必ずしもよく理解されていない.昨年度,わが市でも救命士が誕生し,今回,高規格救急車が配備された.今日は,私なりに理解している救命士の現況と問題点,今後の展望などについて述べてみたい.
救命士は各自治体消防救急隊員のうちで,250時間の救急2課程を修了したものが,養成機関で1年の修学のあと国家試験に合格して与えられる国家資格である.なお,看護婦免許のある者はこの受験資格がある.一般の救急隊員の行える救急処置に加えて,救命士は重度傷病者のうち心機能停止状態の傷病者に対し,以下の特定行為を行うことができる.(1)厚生大臣の指定する器具(食道閉鎖式エアウェイおよびラリンゲルアルマスク)による気道確保,(2)厚生大臣の指定する薬剤(乳酸加リンゲル液)を用いた静脈路確保のための輸液,(3)半自動式除細動器による除細動,以上の3点であるが,いずれも医師の具体的な指示のもとに行うという条件がある.
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