特別記事
救急救命士法改正により期待される病院救急救命士の動向
鈴木 哲司
1,2
1一般社団法人日本救急救命士協会
2鈴鹿医療科学大学保健衛生学部救急救命学科設置準備室
pp.990-994
発行日 2021年11月1日
Published Date 2021/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211559
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■救急救命士が活動する“場”の拡大
病院前救急医療体制の充実を図る救急救命士制度
救急救命士制度は,1991(平成3)年に病院前救急医療体制のさらなる充実を図り,わが国の救命率の向上を目指すことを目的として整備された制度である.制度発足以前は,救急用自動車の中での救急隊員による医療行為が禁じられていたため,傷病者の搬送を主体とした業務であり,助かるはずの命が失われていたという悲しい歴史があった.それらをいち早く解消するために公的養成機関,専門学校,短大,大学において救急救命士の養成が行われ,量的充実が図られてきた.
改正前の救急救命士法第44条第2項によって「救急救命士は,救急用自動車その他の重度傷病者を搬送するためのものであって厚生労働省令で定めるもの(「救急用自動車等」という.)以外の場所においてその業務を行ってはならない.ただし,病院又は診療所への搬送のため重度傷病者を救急用自動車等に乗せるまでの間において救急救命処置を行うことが必要と認められる場合は,この限りではない.」と救急救命士が業務の行う場所の厳格な規定と制約がなされ,今日まで救急救命士の活躍する場は,消防機関が主たる職域であった.
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