私の工夫—手術・処置・手順
Level Ⅲ 郭清を伴う胸筋温存乳房切除術におけるリトラクター開創器使用の工夫
岩瀬 博之
1
,
卜部 元道
1
,
鈴木 義真
1
,
内田 陽介
1
,
渡部 脩
1
Hiroyuki IWASE
1
1江東病院外科
pp.486-487
発行日 2002年4月20日
Published Date 2002/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407904831
- 有料閲覧
- 文献概要
乳癌における術式はほぼ完成された感があり,その術式も胸筋温存術式がかなりの比率を占めている.しかし胸筋合併乳房切除術と異なり胸筋温存のために1b,1cリンパ節の郭清は第1あるいは2助手によるしっかりとした胸筋の鉤引きのもとに行われ,2,2hの郭清は困難な時もある.また児玉法においても完全な郭清にはある程度は同様に胸筋の牽引は必要と思われる.そして胸筋だけではなく皮弁をしっかりと牽引することも良好な術野の確保には欠かせない.熟達した術者であれば問題ないことであるが,一般市中病院や教育関連病院では比較的若い術者に第一助手が指導しながら手術する場合が多く,またマンパワーの問題で2人で手術することも多い.このようなときには当然,胸筋や皮弁の確実な牽引が第三者を介さない器具でなされることが望まれる.
そこで筆者らは一般に腹部手術で使用されるリトラクター開創器(瑞穂医科工業)を乳癌手術に応用し手術の簡易化に努めているので,これを紹介する.まず腋窩を大きく開くために,患側上肢を肘関節で90度屈曲させ,肩関節を120度程度挙上し,45度程度回外する.そしてL字型の門に固定する.その尾側でレトラクターの門を鎖骨と挿管チューブの間に固定する(図1).
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.