文学漫歩
—野坂昭如(著)—『火垂るの墓』(1972年,新潮社 刊)
山中 英治
1
Hideharu YAMANAKA
1
1市立岸和田市民病院外科
pp.1092
発行日 2001年8月20日
Published Date 2001/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407904548
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人気歌手の三波春夫さんの訃報と重なったためか大きく報じられなかったが,華道・草月流家元で映画監督の勅使河原宏さんがこの4月に逝去された.実は私のアルバムには家元のご母堂と一緒に写った写真がある.
1987年に南紀の古座川病院に出向していた時,暇だったので花婿修行?に草月流に入門した.元町長の娘さんが草月流のかなり高位の師範で,自宅で沢山のお弟子さんに教えておられた.それで家元のご母堂が南紀を訪問された際に私も師範に随行して,夕食のお相伴に預かった際の写真である.上品な白髪のご婦人は「外科医も鋏を持ったアーティストでしょ.芸術は人生の糧になるから華道はお続けなさいましね」と仰った.大学に戻った私は言いつけを守らなかったので芸術的センスのない外科医となった.
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