病院めぐり
国家公務員共済組合連合会九段坂病院外科
杉原 国扶
pp.1441
発行日 2000年11月20日
Published Date 2000/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407904302
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都心のど真ん中にあって,わが九段坂病院ほど環境に恵まれた病院はないでしょう.皇居のお濠に映える満開の桜,華麗に散り始めるときの美しさは筆舌に尽くしがたいものがあります.そして匂い立つ新緑のとき,夏には蝉の声,北の丸公園からはお濠を渡ったさわやかな風が吹き抜けてきます.真冬の武道館の屋根を真っ白く被い尽くした雪景色も一見の価値があります.入院した患者さん達は,異口同音にこんなに穏やかな環境で過ごせるなんてと喜んでいます.
当院の歴史は古く,大正15年10月,関東大震災からの復興の機運の中で,現在の地に産声を上げた九段坂病院が前身です.当時としては珍しい鉄筋大理石造りの耐震耐火構造で,全館個室の高級病院として評判であったと記されています.その後,戦中戦後の幾多の変遷を経て,昭和24年,現在の国家公務員共済組合連合会の前身に買収され,同年9月1日連合会の第1号直営病院として再発足しました.当時は都心にある唯一の連合会病院として期待も大きく,徐々に総合病院としての体裁を整えていきましたが,狭小な敷地であることは如何ともしがたく,周囲の大病院の増床化とは別の道を歩まざるを得ず,現在は220床弱の中病院として,内科,外科,整形外科,心療内科を中心に全10科で運営されています.
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