特集 薬物療法マニュアル
Ⅶ.併存病態の理解と薬物療法
5.腎・尿路疾患
慢性腎不全
吉田 和弘
1
,
秋元 成太
1
Kazuhiro YOSHIDA
1
1日本医科大学泌尿器科
pp.483-485
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903926
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基本的な事項
慢性腎不全とは腎疾患が慢性の経過で障害され,不可逆的に機能低下した病態を呼称する.慢性腎不全は腎機能の障害度によって腎予備機能減少期,代償性腎不全期,非代償性腎不全期,および尿毒症期に分類1)される.正常腎機能に対する各期の糸球体濾過量はそれぞれ100〜50%,50〜30%,30〜5%,<5%である.
慢性腎不全の原因疾患は透析導入に至る原疾患と同様であり,第1位の慢性糸球体腎炎,第2位の糖尿病性腎症が大多数を占め,さらに腎硬化症・嚢胞腎,慢性腎盂腎炎が続く.腎機能障害の進展因子として糸球体の過剰濾過,過形成,ネフロン減少,およびtrade off説が挙げられる.また,脂質代謝異常や各種サイトカインの関与もみられる.主な腎機能増悪要因は蛋白過剰摂取と高血圧であり,過度な降圧や脱水,高尿酸血症,腎機能に影響する薬剤の使用も問題となる.血清クレアチニン値はGFRが30ml/分以下の高度腎機能障害に陥らないと異常値を示さない.したがって,腎機能の障害度による生活指導と病態に即した適切な薬物療法が必要となる.
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