特集 泌尿器科診療ベストNAVI
Ⅱ 疾患・病態の診療
5 腎疾患
腎不全
069 慢性腎不全
米山 高弘
1
,
盛 和行
1
,
大山 力
1
1弘前大学大学院医学研究科泌尿器科学講座
pp.204-206
発行日 2013年4月5日
Published Date 2013/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413103138
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1 概念・病因
慢性腎不全(CRF)とは腎機能が不可逆的,進行性に低下して形成される病態を包括する症候群であり,糸球体濾過値が30ml/min以下,あるいは血清クレアチニン値が2.0mg/dl以上をCRFと考えてよい1)。通常は,腎機能障害の程度を根拠にしたSeldinの分類が広く用いられている(表1)。2002年,アメリカ腎臓財団が慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)という概念を提唱した。簡便な腎機能スクリーニングを行い,より早期から治療を行うことで末期腎不全のみならず心血管系合併症(CVD)を予防することを目標にしている。日本腎臓学会もCKD診療ガイドを作成しており,現在では広く使用されるようになっている2)。
透析や移植を必要とするCRF患者は,世界中で増加し続けている。日本でも2011年には維持透析患者数が30万人を超え,国民419.6人に1人が透析患者であることとなった。原疾患は糖尿病が44.2%と半数近くを占め,慢性糸球体腎炎,腎硬化症と続く3)。特に糖尿病は増加が続き,導入後の予後も不良である。
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