疾患と検査値の推移
慢性腎不全
木村 秀樹
1
1福井大学医学部附属病院検査部・腎臓内科
pp.1261-1268
発行日 2018年11月1日
Published Date 2018/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207401
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Point
●現行の慢性腎不全は,推算糸球体濾過量(eGFR)が60mL/分/1.73m2未満の状態を示し,糖尿病性腎臓病,慢性腎炎,腎硬化症が主因である.
●eGFR<60の病態は,国民の約14.5%に認められ,高齢者になると増加し70歳代で約30%,80歳以上では約40%と著明に増加する.
●eGFRが30〜59の病態では,高血圧の合併,血清クレアチニン(Cr),BUN値が上昇し,eGFRが15〜29の病態では,易疲労感,腎性貧血,夜間尿と多尿,血清P値上昇,Ca値低下を認める.eGFR<15の病態では,吐気,食欲低下,息切れ,K値の上昇,代謝性アシドーシスが合併する.
●慢性腎不全の進行とともに,超音波所見では腎皮質の菲薄化とエコー輝度の増強,腎表面の凹凸不整の増強,腎サイズの縮小を呈する.
●慢性腎不全の進行過程では,1/Cr,eGFRが直線的に低下していく.BUN/Cr>10〜20の病態では脱水,蛋白摂取量の増加を,BUN/Cr<10の病態では蛋白摂取量の低下を示す.
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