電子内視鏡による大腸疾患の診断・20
消化管悪性リンパ腫
多田 正大
1
,
北村 千都
1
,
藤田 欣也
1
,
伊藤 義幸
1
,
柴峠 光成
1
,
菅田 信之
1
,
清水 誠治
1
,
大塚 弘友
1
,
磯 彰格
1
,
杉本 鏞正
1
1京都第一赤十字病院第2内科
pp.1988-1992
発行日 1993年10月10日
Published Date 1993/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402902454
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●消化管悪性リンパ腫の臨床的事項
消化管の悪性リンパ腫は比較的稀な悪性腫瘍である.全悪性リンパ腫の中で消化管原発悪性リンパ腫は約10%前後の頻度を占めるとされている.しかし,剖検では全身性悪性リンパ腫の50%以上に消化管にも病変を認めるとされているし,消化管原発であっても,末期になると全身のリンパ節腫大がみられ,全身性悪性リンパ腫と同様の臨床所見を表す.したがって,消化管病変が原発性か続発性か,判断に迷うことは少なくない.このような場合には病変の拡がり方から類推せざるを得ない.
悪性リンパ腫が消化管原発であるとする根拠として,Dawsonら(1961年)1)の有名な定義があり,①表在リンパ節腫脹がない,②胸部X線検査で縦隔洞リンパ節腫脹がない,③末梢白血球数および分画が正常である,④病変が消化管および所属リンパ節を越えない,⑤肝脾腫がない,などの諸条件を満たすことが挙げられている.
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