特集 縫合・吻合法のバイブル
Ⅲ.部位(術式)別の縫合・吻合法
5.胃
胃全摘後の手縫いによる食道—空腸吻合
佐久間 正祥
1
Masayoshi SAKUMA
1
1水戸赤十字病院外科
pp.158-160
発行日 1998年10月30日
Published Date 1998/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903356
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はじめに
胃全摘出は胃体上部や噴門部の胃癌に対して行われることが多い.進行癌では隣接臓器の合併切除や徹底的なリンパ節郭清を行うため,再建法も吻合法も複雑でなく,短時間で終了できるものが望ましい.
胃全摘後の再建法は歴史的に種々の方法があり,それぞれ術者の経験的な慣れもあり,未だに一定した見解はみられない.大きく分けてRoux-en Y法,double tract法,ビルロートⅡ法,空腸間置法などがあるが,重要なのは膵液や胆汁の逆流による食道炎を防ぐことにある.最近では早期胃癌も多くなり,術後のQOLを考え,食物が十二指腸を通る空腸間置法も多くなっている.ここでは最も一般的である食道—空腸Roux-Y吻合の手縫い縫合を述べる.今ではどこの施設でも器械吻合がfirst choiceと思われるが,時に手縫い吻合に切り替えることもあり,基本的な手技はマスターしておく必要がある.
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