Japanese
English
特集 分子生物学的診断は病理診断に迫れるか
胃癌の遺伝子診断が目指すもの
Destination of genetic diagnosis on gastric cancer
田村 元
1
,
西塚 哲
2
,
前沢 千早
2
,
坂田 謙
1
,
遠藤 泰志
1
,
本山 悌一
1
Gen TAMURA
1
1山形大学医学部第2病理
2岩手医科大学医学部第2病理
キーワード:
胃腺腫
,
胃癌
,
遺伝子診断
Keyword:
胃腺腫
,
胃癌
,
遺伝子診断
pp.851-856
発行日 1998年7月20日
Published Date 1998/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903223
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遺伝子診断と病理診断は相補的な関係にあり,病理組織形態からだけでは鑑別が困難な良・悪性境界領域病変の診断や高悪性度腫瘍の診断に客観的指標を与えることが遺伝子診断の担っている役割である.胃の良・悪性境界領域病変の鑑別においては,p53遺伝子変異,染色体4p,7q,14q,17p,21qの欠失が悪性の指標として有用であり,一方,APC遺伝子変異の出現は良性(腺腫)あるいは超高分化型腺癌(低異型度癌)に特異性が高い.胃癌の進行度の目安としては染色体2q,5q,6p,11q,18qの欠失が蓄積することによるFAL(fractional allelic loss)の上昇があり,早期胃癌再発に関わる遺伝子異常として18q(DCC領域)の欠失,E-cadherin遺伝子変異が挙げられる.さらにc-erbB−2遺伝子増幅(あるいは過剰発現)の予後因子としての有用性が示されている.精度の高い遺伝子診断には,より多くの特異的遺伝子マーカーの同定が必要である.
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