交見室
医療情報の開示について
北島 清彰
1
1北島病院泌尿器科
pp.190
発行日 1999年2月20日
Published Date 1999/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413904499
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医師が医業をしていくだけでは病院の経営ができない状態,小規模病院の経営者にとっては大変な時代になってきました。先に先に目を向けて医療の改善や組織の構造改革をしていくことが常に必要で,現状を維持していくだけでは確実に経営破綻に追い込まれます。すべての職員,職種が病院運営に目を向け,医療の主役は患者さんであることを再認識し,自己の職務を全うしなければなりません。それぞれの医療機関が独自性を出して自立しなければならない時,患者さんおよび家族からそれぞれの病院が選ばれる時代になってきています。そのための取り組みの1つとして,私たちは医療情報の全面的な公開を始めました。
情報公開の大きなきっかけとなったのは,数名の癌患者さんに対する治療でした。全例とも診断から治療経過時に,患者さんと家族に病気に対する十分な理解が得られていなかったように思います。医師として自分たちなりに十分に時間を割き,病気を告知して説明し,医療を提供していったと思っていましたが,患者さんの考えとすれ違いがあって満足のいく治療が行えず,治療中止となりました。このようなケースをできる限り少なくするために,そして21世紀を目指した独自の医療体制を創りあげるために,1999年1月よりすべての患者さんを対象としたカルテの全面的な開示を始めました。今までも薬剤,検査データなど部分的な情報の開示は行ってきました。
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