遺伝子治療の最前線・10
TNF遺伝子導入による癌治療
渡辺 直樹
1
,
佐藤 康史
2
,
新津 洋司郎
2
Naoki WATANABE
1
1札幌医科大学医学部附属病院検査部
2札幌医科大学医学部附属病院第4内科
pp.469-474
発行日 1998年4月20日
Published Date 1998/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903157
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はじめに
腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor:TNF)は,もともと実験動物において腫瘍に出血性壊死を誘発する因子として発見された.その細胞傷害性は種々のサイトカインのなかで最も強力であり1),また,腫瘍細胞上のMHC抗原や,接着因子の発現増強,LAK,NK,CTLの誘導や活性の増強,抗腫瘍性マクロファージの誘導,好中球の活性化など,多彩な作用を介して抗腫瘍作用を発揮する2〜5).
TNFの臨床応用については皮膚腫瘍,肝臓癌,膵臓癌などへの腫瘍内投与において高い奏効率が得られたにもかかわらず,全身投与では血圧低下,発熱などの副作用のため,満足すべき効果(奏効率)を得るに至っていない6,7).
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