カラーグラフ 内視鏡下外科手術の最前線・33
大腸
クローン病に対する腹腔鏡下手術の方法
渡邊 昌彦
1
,
大上 正裕
1
,
寺本 龍生
1
,
安井 信隆
1
,
奈良井 慎
1
,
石原 雅巳
1
,
北島 政樹
1
Masahiko WATANABE
1
1慶應義塾大学医学部外科
pp.1111-1114
発行日 1997年9月20日
Published Date 1997/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902830
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はじめに
腹腔鏡下手術は,胆摘をはじめ消化管の良・悪性疾患に対する新しい治療法として注目されている.なかでも小腸や大腸はその解剖学的な特殊性から,腹腔鏡下手術に適している.小腸は本来可動性があり,結腸も腹腔鏡下に剥離・授動すれば小腸と同様に創外に露出して切除・吻合する腹腔鏡併用(補助下)手術が容易にできる.さらに腸は血管系も単純なので腹腔鏡下の処理が容易である.このような理由で,腸疾患に対して本法は広く普及しようとしている1).
外科手術の適応となる腸疾患の大半は大腸癌である.しかし,腹腔鏡下手術は開腹に比べリンパ節郭清の難易度が高く,予後については開腹術との比較検討がなされていないため,本法の可否は未だ賛否の分かれるところである2〜4).一方,良性疾患は郭清が不要であり,もともと開腹を可能な限り避けなければならないので,低侵襲の腹腔鏡下手術が適している考えられる.しかし,炎症性腸疾患(IBD)に関する報告は少なく,適応や方法などについて一定の見解は得られてはいない5,6).われわれはIBDのうちクローン病19例に本法を応用し,良好な成績を得ている7〜11).
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