臨床外科交見室
女性外科医
武田 博士
1
1滋賀県立成人病センター外科
pp.638
発行日 1997年5月20日
Published Date 1997/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902725
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この2月27日,ついにウイーンフィルも時代の流れには逆らえず女性楽団員(演奏家)の参加を認めることになったそうである.アメリカをはじめ多くの国で従来は絶対に男だけの世界と思われてきた軍隊でさえ年々女性兵士が増加してきている昨今,また女性のボクサーや力士が世に認められている時代にあって,今日まで男だけであった事自体非現実的であったとも言えよう.
ただし,現行のスポーツのように男女が別々に競技する場合とオーケストラのように男女が肩を並べて一緒に演奏活動をする場合とでは男女の存り方,性差が全く異なった意味をもつことも確かである.先日の論説1)によると,アメリカの軍隊で最も解決困難な問題として身体的な違いが挙げられている.日常生活では先端技術によってカバーされる為,大きなトラックでも非力な若い女性が運転することも可能である.しかしながら,平均身長では約13cm低く,上半身の筋力は約半分,筋肉量は37%少ない女性隊員にとって,極限状態である戦場ではそれは越え難い肉体的ハンディキャップとなってgender integrationを困難にしている.日常生活からは想像することさえ難しいが,長い行軍では立ったままでの排尿が必要となり“Freshette Complete System”なる専用器具を開発中とある.最近では新兵の20%を女性が占めるアメリカではこうした工夫も避けられないようである.
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