特集 管理者としての婦長
「女性の仕事」・「女性社会」・「女性管理者」
天野 正子
1
1南山短期大学社会学
pp.27-30
発行日 1977年5月1日
Published Date 1977/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206221
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「女性の仕事」と「男性の仕事」
保育はこれまで,もっぱら「女性の仕事」と見なされてきた.その「女の城」が先ごろ男性にも開放され,法的に保母とならんで,保父にも資格が与えられることになった.美容師や電話交換手など,これまで女性の職業とされてきた仕事についても,男性の進出はすでに始まっている.逆に女性がひとりも働いていない完全な男性職業も,国勢調査でみる限り,今では10にも足りない.男性と女性との職業上の壁は,急速に突き崩されつつあるようにみえる.
しかし,そうだろうか.異性はひとりもいないという意味での完全な「男性の仕事」「女性の仕事」は,確かに急速に姿を消しつつある.とはいっても長い間,社会的慣習としてつくられた性の違いによる職業のカベが,たとえば一握りの保父が現れたからといって,そう簡単に崩れるわけはない.洋裁,タイピスト,電話交換手,キーパンチャー,そして看護・保育・司書などの仕事は,依然として,社会的に「女性の適職」と見なされているのである.
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