外科医のための局所解剖学序説・9
胸部の構造 4
佐々木 克典
1
Katsunori SASAKI
1
1山形大学医学部解剖学第1講座
pp.505-515
発行日 1997年4月20日
Published Date 1997/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902703
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Theodr Billrothが“この臓器の創を縫おうとする外科医は名声を失うであろう”と予言した心臓に誰が,なぜチャレンジしたか,医学史の大きな興味である.
“ナイフによる右心室の貫通創を前にして,私は否応なく手術に踏み切らざるをえなかった.私の目の前で出血で死にかかっている患者にこれ以外のオプションは考えられなかった.次の報告を読んでいただければ,私の立場は理解していただけるであろう.熟慮したかったのはやまやまだったが,時間がなかったのである.”James W.Blatchfordはこの文章を“いいわけがましく”と評しているが,1896年9月9日,フランクフルトでLudwig Rehnにより裂けた心臓が初めて縫合された.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.